東日本大震災の被災地支援ボランティアに参加しています

東北道が復旧した3月末から、仕事の合間をみつけてはボランティア活動を続けています。

震災から二ヵ月たった5月初旬、石巻市雄勝町に応援にいきました。津波が直撃し、壊滅状態となった雄勝町は、伝統的工芸品「雄勝硯」で知られる小さな町。「ガレキ撤去される前に、貴重なすずり石を保存しようプロジェクト」に参加しました。

写真の右手前にあるのが、雄勝硯の原石である雄勝石です。がれきや土の中から一枚一枚ひろいあげ、損傷のない石を探します。石なので非常に重く、海岸からは風が強く吹き、気の遠くなるような作業です。地元の青年と一緒に作業をしました。青年は「硯彫りの伝統工芸士が3人いたけれど、行方不明になった方もおり、これからどうなるか残念ながらわからない」「この雄勝石は硯のほか、東京駅の屋根の補修にも使われています」といった話をしてくれました。

石と木と違うものの、伝統工芸に携わるものであることは一緒。伝統工芸は小さな産業です。儲かりませんし、手間がかかります。伝統工芸は地味で、派手さがありません。伝統工芸には古い歴史がありますが、高齢化も進んでいます。合理性とか効率化とか、現代文明とほど遠いところに伝統工芸はいるのです。

でも私はこうも思うのです。伝統工芸は、弱くて、だから愛され続けているのだと。人の気持ちに支えられ、他人に見守られながら、何百年も生き続けている。関東にすむ私と東北にすむ青年が、同じ空の下で、手と足を動かして土を同じく掻きわけている。人間が人間らしくあることがそれだけで美しいように、自然をゆずり受けた工芸品もまた美しく、愛されつづけるのだと思います。

私たちは木工やさんですから、木工品の修理もします。どうかみなさんも、古くから身の回りにある木工家具や木工品を見直してあげてください。そしてたくさん使ってあげてください。

あと五年か十年か、被災地の復興にどれだけかかるか想像もつきませんが、その頃にもまた雄勝町を訪れてみたいと考えています。雄勝硯はもちろん、あの若い青年がどうか元気に、逞しく成長していて欲しいと心から願いつつ。

木工芸 鈴木工匠

  • 雄勝硯ホームページ  600年以上の歴史をもつ雄勝石と硯の製法、雄勝硯伝統産業会館の紹介。

  • 木工品の修復について 木工芸 鈴木工匠では木工品の修理修復にも力を入れています(修復費の一部をボランティア活動資金にあてています)