奈良時代からの木工技術

木工芸鈴木工匠のモノ作りは、伝統工芸の指物技術がルーツになっています。

古い歴史をもつ指物の技術
道具はシンプルなものが多く、ときには自作することも。単なる木端や棒切れさえも指物の道具になります。

指物(さしもの)の「指す」には、2つの意味があります。ひとつは「ものさし」を使うという意味。ものさしを自在に操り、正確な寸法で、狂いない形を作り上げます。ふたつ目は、その指先で様々な木材を複雑に組み合わせ、精緻な細工を施すという意味です。板材を合わせたシンプルな箱ものをはじめとして、戸棚箪笥といった家具調度品を「指物といい、またその技法も「指物」と呼ぶようになりました。

指物は古来数ある木工技術のうちにあって、実用の美という点から、もっとも多用されてきました。古くは正倉院の木工芸品にその技術を見ることができ、素朴な意匠ながらも、基礎となる技術は今とほとんど変わらないところまで進んでいます。平安時代に入ると、貴族を中心とする国風文化の元で、より凝った装飾や高度な技術が発達しました。これらの作品の中には、今日の工芸作品を凌駕するものも少なくありません。その後、戦国期から江戸時代にかけて商工業が発達し、工芸品ではなく「和家具」といった形で広く木工技術が広まりました。この技術を駆使する職人らは「指物師」と呼ばれ、「指物」という言葉が使われはじめたのもこの頃だと言われています。

現在、日本人のライフスタイルの変化や合板を用いた安価な輸入家具の増加に伴い、いまや優れた指物師は激減しました。しかし、1000年以上の伝統を持つ日本古来の指物技術に目を見張るものがあることは言うまでもありません。